大学1年の授業(5)「情報コミュニケーション概論I Information et Communication I」で習ったこと

まさに大学一年でよくある「○○概論I」という授業でした。シラバスとパワポに加え、情報系の先生なこともありインタラクティブな授業をしようとしていて結構面白かったです。
先生自身のマイク以外に、無線マイクを学生発言用に準備していました。でも、大教室の無線マイクのつながりが悪くて、時々マイクテストをしてから質問になってました。
Mentimeterのイメージ
Mentimenterを使った設問
ほかにも、Mentimeter というツールを使いました。これは、先生が予めアンケートを作っておき、答える(学生)側が携帯やパソコンを使ってこのサイトにアクセスし、先生から指示のあった番号を入力するとアンケート設問が出てきます。個々が答えると、すぐに結果が反映されるアプリです。
また、授業内で次回までにちょっとした課題をこなしたり、質問者にマイクを渡す係といった「学生ボランティア」を求めていました。ボランティアした人を先生が記録して評価に入れるということはなかったものの、やる気のある人、たまたま動きやすい場所に座った人が当てられていました。

授業内容ですが、シラバスを外部に出さないようにとのことですので、構成をお伝えします。

  • 情報コミュニケーションの基本:情報とは、コミュニケーションとは
  • コミュニケーション学の始まり(20世紀初めの大衆・集団)
  • 行動主義的アプローチ:プロパガンダ
  • フランクフルト学派の批判理論
  • メディア機能主義の理論
  • 情報の数学的理論(シャノン、ウィーヴァー)
  • 構造主義的アプローチ:コミュニケーションと意味
  • カルチュラル・スタディーズのアプローチ
  • 受容の研究(les études de réception)


一番最初の授業に、Jean-Baptiste Perret "Y a-t-il des objets plus communicationnels que d'autres?"  という論文を読んでおいてと言われ、苦労して読んでみたら取り上げたのが授業最終日でした。今は論文のノートを見ても細かいことは覚えていないのですが、情報コミュニケーション学は技術的、心理的、社会的、言語的と文系・理系に渡る多面的な学問で、社会科学としての情報コミュニケーション学をどう定義するのか、科学性は担保できるのかと言った、学問としての立場の関係を論じたものでした。最近の文系・理系を超えた学際的な分野が抱える問題点が情報コミュニケーション学にもありますね。


この授業では、Cyrus Northというユーチューバーの動画「Faut-il avoir peur des émojis? Pop Up #6」を見て、「絵文字はソシュールの言う記号であると言えるか?理由も述べなさい。」という課題があって、指名されたボランティアが翌週発表だったのですが、個人的に面白かったので先生に回答を送ってみました。
絵文字は「émojis」と呼ばれていて、世界共通のツールになりつつありますが、私は世界共通の言語にはならないと答えてみました。例えば新幹線🚅と在来線🚃、桜の花の中に「大変よくできました」と書いてある絵文字💮など、日本で意味をなす絵文字が使われていますが、新幹線の絵文字を単なる電車と解釈したり、成績が良かったという意味の花が単なる美しい花に解釈されたら日本では誤解されてしまいます。また、ユーチューバーも説明していましたが、Unicodeが同じ絵文字でも、ユーザーの持っている機器で画像が変わります。そのあたりを先生にメールで説明しました。先生から返事が来て、私が送った絵文字が文字化けしてきちんと読めなかったので再送してとお願いされました。プリントスクリーンしてメールしたら、「面白かったので来年の授業で使ってみたい」との返事をいただきちょっと嬉しかったです。

試験については過去問も出ていて、試験構成は以前と変わらないとのことでした。
一番大きな(かつ面白い)文章題は、ロラン・バルトがPanzaniというパスタ製品の広告を使って行なった記号論のような説明をしたことです。バルトの研究を紹介した日本語サイト「Semiotics for Beginners -初心者のための記号論 - Daniel Chandler (University of Wales) 田沼正也訳 7. 指示義、共示義及び神話 がありましたので、詳しくはそちらで写真や説明を見てください。広告では文字だけでなく色やそこにある物体、人などで訴えることを習いました。
授業での具体例としてMonica Bellucciというモデルの首に大蛇が巻かれたDiorの香水「Hypnotic Poisonでした(こうテキストで書いてしまうと香水のハイソな感じが全く出ないので、画像を紹介している記事のリンクをクリックしてください)。  去年の試験のお題だったと後でわかりました。
テストではスッキリ系のチューインガムの広告が出題されました。広告から受けるスースーする印象をとにかく書きました。
試験勉強はいろんな学者とその考えが沢山あって(先生が早口で量も多かった!)、覚えるのが大変でした。結果はギリギリ合格。良かった良かったでした。