メディア活動についての概論です。ベルギーの場合、メディアは言語の共同体政府別での管轄なので、ベルギーのフランス語圏が中心で、副次的にフランスやベルギーオランダ語圏に関する事情に触れました。
教材は先生のパワポ中心でした。
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1 メディアの歴史
ベルギーにラジオが到来したのは1913年ごろ
テレビは1956年、エリザベス女王ご成婚時(日本と似た事情です)
2 メディアのカテゴリ
・国営、公営、民間
・日刊紙(週5日以上で日刊と呼べる)、定期刊行物
・地理的カテゴリ 国際版・全国版・地方版
・テーマ別
・社会グループ別 子供向け、女性向けなど
・オンラインメディアと伝統メディア
・オンラインメディアの 無料、有料、一部無料(freemium)
・広告 広告主、広告代理店、広告スペース販売代理店、視聴率調査機関、広告倫理審査機関、視聴覚メディアの高等審議会(日本だとBPO、ベルギー仏語圏はCSA)
3 メディアの特徴
・ 情報提供、娯楽、心理的浄化作用、社会統合
・メディア産業の経済活動は他の産業と同じ論理→材料・資本・労働の必要性、規模の経済が働く、競合性・排除性の有無で分類可能
・メディア産業監督行政の存在
・購入(同意)後にサービス(コンテンツ)が提供される。
4 メディアの資金調達
・出版系メディア= 1つの供給・2つの市場(読者と広告主)
・ネットワーク外部性(詳細はWikipediaへ)
・5つのコスト(制作、製造、流通、宣伝、運営)
・収入(購読、単発購入、広告、補助金、二次的商品販売)
・日刊紙 制作コスト大(内製化多し、輪転機確保、夜間印刷)><定期刊行物(紙コスト高い、印刷人件費安(北アフリカで雑誌印刷))
・オーディオビジュアル系 コストの特徴(権利購入(著作権、番組コンセプト)、制作物購入(外国のアニメ・ドラマ) )、収入(補助金、受信料、広告、一社独占スポンサー、物品提供、テレショップ、映像内に商品置いた広告、ケーブルテレビ視聴代、映像ダウンロード料等)
・広告 ベルギー仏語圏ではテレビの役割大かつ増加、ベルギーでは有料日刊紙の割合減(état des lieux des médias d'information en Belgique francophone, 137ページ)
5 メディアの効果・評価・審査
・直接効果(Tchakhotine、皮下注射モデル)
・限界効果(Katz, Lazarsfeld、オピニオンリーダー)
・効果評価機関 ベルギー仏語圏はCentre d'Information sur les média(メディア情報センター)
・ベルギー広告倫理審査機関 (広告倫理審議会 Jury d'Ethique publicitaire)任意団体で審査結果を遵守する拘束力はない。
・ベルギー仏語圏の視聴覚メディアの高等審議会 (視聴覚メディア高等審議会 CSA Conseil supérieur d'audioviduel)
6 (フランス語共同体政府の)対メディア行政
・ベルギー仏語圏の対メディア支援
直接(日刊紙向けの補助金)、間接(付加価値税免除、通信費割引)、一時的(調査資金、メディア創設時資金)
・歴史
1960年代 ラジオ・テレビ普及による出版系メディア危機
1960年代末行政による対応協議開始→1978年日刊紙への支援
1987年テレビCM枠を管理するTVB社発足、民放テレビ参入しテレビCM広告料の一部を日刊紙に支援するシステム開始(1996年まで)
2004年ワロン・ブリュッセル連邦法律によりTVBシステム停止、同連邦から日刊紙への補助金に変更
・国レベル(ベルギーの場合仏語圏)とEUレベルのメディア行政の違い
文化的財産保護(国レベル)、経済的な自由競争(欧州委員会レベル(Directive sur les Service de Médias Audioviduels))
7 報道記事の制作方法
Lewinによるゲートキーピング理論
GaltungとRugeによるニュースバリュー類型化(8つの一般的条件と4つの文化的条件)の分析
記事の階級化(19世紀まで時系列、その後トップ記事出現、Webニュースによる階級化の激変)
8 メディアの集中化、金融化(financiarisation)、国際化
集中化=合併、吸収、資本参加と水平集中・垂直集中・コングロメラート
金融化=経営・投資対象として発達
国際化=交換(原料調達、外国メディアへのアクセス)、権利・コンテンツ、資本
9 メディアの新しい経済モデル
オンラインメディア(ウェブのみのメディア、伝統メディアがウェブ進出、アグリゲーター)
広告収入の変化(マッチング、ソーシャルメディアマーケティング)
メディア収入の変化(クラウドファンディング、アーカイブ販売、寄付)
Google、Facebook、Twitterの概要と問題点
10 ベルギーのメディア事情
言語別の3市場別の編集が基本、国内の規模小さい(収入少ない)、隣国のメディア(オランダ、フランス、ドイツ)と密接な関係
視聴覚メディアの特徴:仏語圏は地方分散型、オランダ語圏はブリュッセル集中型、ドイツ語圏はドイツとの連携
出版メディア系列
Rossel系 仏語圏老舗、経済誌でオランダ語圏と提携
IPM系 仏語圏二番手、Paris Match
Nethys系 ブリュッセル以外の仏語圏新聞社+子供新聞
Het Mediahuis系 オランダ語圏系日刊紙
De Persgroep系 オランダ語圏系にっかんしめいん、経済誌で仏語圏と提携
Roularta系 雑誌、フランス語・オランダ語双方出版
Sanoma系 女性向け雑誌 フランス語・オランダ語双方
仏語圏視聴覚メディア系列
RTBF.BEはフランス語系の公共放送局 |
RTLは民放で、本社はルクセンブルクに戻ったが番組はベルギー向けにベルギーで制作している。 |