しかし、ベルギー国鉄の評判は芳しくありません。遅延やストライキが象徴的ですし、ブリュッセル首都圏内でも私の使う路線は1時間に2本か1本です。市内の駅のいくつかは、終電が平日19時台、土日が閉鎖されます。駅舎は廃墟で、落書きが建物だけでなく車両にも描かれています。
日本は国鉄民営化から30年、私が子供の頃は日本でも駅のトイレに紙がなかったことやストライキを打っていた覚えがあります。日本の国鉄に対するその当時の市民感情に近いオーラをベルギーで感じます。
「なぜベルギー国鉄(SNCB)を中心とする公共交通機関への風当たりがきついのか。風当たりを和らげる方法を日本や他国から学ぶことはできないか。」という点について、いろいろな角度から調べて、ブログに載せてみようと考えました。
すでにいくつか調べ物をしているのですが、準備ができた内容から徐々にブログで紹介していきます。
今回は、今週ベルギー国鉄で起きた事故を紹介します。
鉄道復旧作業員2名死亡、6名以上の事故
11月27日の19:30からの夜のRTBFニュースでは、トップニュースでSNCB鉄道車両と車が接触・炎上したと現地生中継で復旧作業中の様子が報じられていました。暗い中で黄色い作業服を着たInfrabel社(鉄道インフラの国営企業)の作業員が路線上で作業を行っている映像を使っていました。その番組の終わりに、改めて現地生中継が入り、復旧作業員が事故に巻き込まれたと報じていました。RTBF(フランス語圏の公共放送テレビ局)のウェブニュースでは、「2名死亡、6人以上が負傷」という記事が載せられました。
原因は、半分が焼けた事故鉄道車両をけん引中、車両が牽引車から離れてしまい「幽霊車両(train fantôme)」状態で暗闇の下り坂の線路を14km音もなく移動してきて、その先に作業員がいて轢かれてしまったというものです。事故発生が19:50頃ということですから、もしかするとトップニュースの背景に映っていた職員だったのかもしれません。現地生中継をしたレポーターも「線路を高速で通過する車両を見て、悲鳴が聞こえた。(Nous avons vu passer un train à très grande vitesse sur les voies. Nous avons entendu des cris」と答えています。