日本のNTTに相当するProximus社が12月12日付プレスリリース「Proximus ends the telegram after over 150 years of good, loyal service」を発出しました。
RTBFテレビニュース
12月12日付のテレビニュースの概要は次の通りです。正確かつ実直なサービスを170年以上にわたって続けてきた電報の歴史に今月末12月29日にピリオドが打たれます。個人客はここ数年はほとんど使うことがなくなたものの、仕事ではいまだに利用するコミュニケーション手段でした。映像を見た限りですと、ベルギーの今の電報は、シンプルな封筒に入ったものを受け渡していたので、日本のような飾りは無かったです。取材用のやらせのような映像ですが、電報の贈り先は普通の家で、受け取った人も普段着の人でした。
最初の電気の電報がベルギーで開始されたのは1846年、この年はアントワープからブリュッセルまでの鉄道が開通しています。
古代ギリシャ語で、télégrammeとは「距離を隔てて書く」という意味で、電気通信界に革命をもたらしました。
ベルギーでの電報の黄金時代は1930年、現在のProximus社の前身となる電信電話公社(RTT)が誕生したころです。現在の需要状況からサービスの停止を決定しました。
現在は同じようなサービスが、FAXに始まり、メール、SMS、インスタントメッセンジャーなどの新技術によって代替されています。
ベルギーでの電報代は高額です。国内宛て20語で税込16.25 euro、ヨーロッパ以外宛ては同じ後数で税込37.50 euroです。
1980年代当初は150万通、90年代に50万通、そして2017年は8000通に減少してきています。
今日、どんな人が電報を送るのでしょうか。多くは企業が債務取り立て時などでの法的価値を得るために利用しているのがほとんどで、少数である個人利用者は、結婚式や誕生日のお祝い目的です。
電報が歴史から去ることは、電気通信の歴史の一ページをめくることになります。
大学に入るのに受験もないですし、電報を送るなら同じ金額で別のプレゼントをもらった方がうれしいのかもしれません。2000円近くしてメッセージだけ送るのですから、個人客が離れてしまうのも無理はなさそうです。
かく言う日本は、電報が通信手段というよりはきれいな紙やギフトも付いたメッセージという形で、NTTやKDDIの電報というサービスを通過したメッセージは、法的価値よりも感情的な意味を強く持ち合わせているから続いているのでしょう。その意味では、ベルギーで言う電報とは意味が変わってしまっています。そのため生き残れているのだと思います。法的価値目的で電報を使ったことがないからそう言えるのかもしれませんが。。。
携帯のインスタントメッセンジャーに絵文字つけたのが日本で電報の代わりになる時代は簡単にやってこない気がします。本当に大切にしたい人にはギフトを贈るという習慣は、レヴィ=ストラウスの贈与論の通り、世界のどんな人の社会でもあることです。日本できれいな包装や花、ぬいぐるみなどが付属された電報が日本で言う電報であるならば、私が生きているうちは電報はなくならない気がします。
電報に代わる通信手段
ちょうど時を同じくして、私の新しい職場の給与明細送付システムの初ログイン作業を行いました。入社時に給与明細を紙でもらうかネット経由でもらうかを聞かれて、ネット経由を選んでみました。
ログインしたところ、このシステムで受け取った書類は、法的に効力を有するんだそうです。給与以外の公的文書ももらえそうな表現ぶりでしたが、なんせまだ給料をもらえていないのでどんなシステムなのかはまだよくわかりません。
ただし、このようなシステムが世に広まれば、RTBFニュースでも言っていた企業の法的な通知証明になるので、やっぱり電報はベルギーでは不要になってしまいますね。