フィールドワークの課題の中間レポート、無事に提出できました。
今週の授業ではグループワークを担当している講師による講評がありました。講評時に中間レポート例が出てきて、私たちのグループも何度か挙げられ、総じて好意的に紹介されたので嬉しかったです。
中間レポートまでの作業
課題設定や観察日時・観察当番をミーティングで決め、Googleドキュメントに決まったこと、レポート素材を書き込んでいくことになりました。また、メッセンジャーで各種調整をし、スマホを持っていないメンバーもいたので、現場での連絡は携帯のSMSで連絡を取り合いました。(私が通っていた頃の大学じゃ、まったく考えられない通信技術です。今の日本の大学もこんな感じなのでしょうか???)
観察は手書きで行います。やはり、現場では手書きがいまだに勝りますね。パソコンは観察者が両手を使ってパソコンをどこかに置いて打つという姿勢の制限や、電源、パソコンの調子、屋外では雨のリスクもあるので、不便ですね。
観察現場では、どこに焦点を当てて記録したらいいのか、いくばくかの戸惑いもあります。ピンポイントである人の動きを追いかけようと決めてもあっという間に消えてしまったり、あまり焦点を当てていない人が意外に長居していたりと、当たり外れが出てきます。
観察結果は、Googleドキュメントに各自の色別で記入しました。観察から見えてきた内容を拾い出し、中間レポートようの観察記録を作成しました。あとは、中間レポートに必要な導入部、観察のまとめ、集約観察の課題設定に至る理由、写真などを分担してまとめていきました。
最後はGoogleドキュメントでまとめた内容をワードにコピーし、体裁を整えイントラネットで提出です。
講評
浮動観察前後の課題設定
今回の15時間の観察は、observation flottante(浮動観察?日本語の呼び方がわかりません)という方法でした。最終レポートで求められるobservation focalisée(訳すと集約観察)の前準備として行い、その現場の人々・様子をふわっと記述するというものです。浮動観察前の課題設定や認識を集約観察時に維持すべきか修正すべきかを判断する元となります。
私たちの浮動観察時の課題設定は、「ジェンダーによってスペース利用の形がどう違ってくるのか。」というものでした。集約観察に移行するにあたって、私たちはこの課題内容を変更しないということにしました。そのことが授業中に例として講師が取り上げ、課題内容不変OKというのが講評でした。
浮動観察と集約観察の課題設定を変えてきたグループの例として、地下鉄利用者の態度という浮動観察を元に、集約観察では特定の2駅の不法乗車行動に焦点を変えたグループが紹介されました。ブリュッセルの交通機関は取り締まりが少ないので、残念ながら不法乗車は日常茶飯事です。2駅は、地下鉄2線が交差し乗り換え客の多いオフィス街の駅と、地下鉄とトラムの乗り換えでビジネス街ではない駅の比較だそうです。
浮動観察の注意点
浮動観察で注意する点がありました。
・観察現場の構造をゾーンやテーマ別に区切って観察する。
・今回の浮動観察では、現場にいる人へのインタビューは求められていないので、観察対象の人々の感情・目的には介入できない。
・観察時複数で実施する条件なので、現場では観察者が分散して多角的に観察する。
・現場の女性数人がこんな態度をとったから、そこにいる女性が取る態度はこうなんだという一般化(généralisation)に注意
・勝手な解釈(surinterprétation)を付加しない。
・皮膚の色の違い(人種)による観察記録に対する注意。社会学的に必ず役立つ情報か、人種のステレオタイプが入っていないか。
・観察現場では、人は何もしていないわけではない。食べているなら、何をどんな風に食べているのか、ぼーっとしているならどこを見ているか体はどんな形かといったように記述を深めることができる。表面的な(superficialité)観察を避ける。
集約観察をする時、現場の人へのインタビューはしないという前提の課題なので、出身(origine)、社会経済カテゴリ(catégorie socio-économique、職業や裕福さなど)は観察だけでは引き出せないことになります。
これからのグループレポートの課題の内容
・(11月30日まで)中間レポート第2版:15時間の集約観察の概要(時系列に、記録ノートの抽出)
・(11月30日まで)最終レポートの計画書
浮動観察と集約観察の比較、集約観察の課題設定との関係、最低4本の参照論文
・(12月15日まで)最終レポート
35000~40000字、テーマと現場選択、当初の問題提起、現場の概要、内容別分析結果(時系列ではない)、観察からもたらされた結論、回顧(困難、不安、理論適用をした際の発見など)、参考文献、付表