殊にベルギーはヨーロッパ議会選挙に加え連邦政府の代議員議員選挙と連邦構成政府議会のうちフランドル地域政府議会、ワロン地域政府議会、ブリュッセル首都圏地域政府議会の選挙があります。ブリュッセルに居住登録していれば、投票は3種類です。
ベルギーは複雑極まりない選挙です。大学時代のベルギーの政治制度 Institution politique de la Belgiqueという授業のシラバスもひっくり返しながらこのブログを書いています。
とある政党のチラシから
たまたま自宅の郵便受けに届いた政党(DéFI)のチラシが複雑さをよくあらわしてると思ったので写真にしました。念のため、私は居住年数が少ないので選挙権はありませんので、この選挙は見ているだけの身です。
A2サイズを四つ折りのチラシで、裏表紙に当たるA4サイズに候補者リストがあり、開いた内側は全面候補者だらけです。
DéFIのチラシ(表紙が右下1/4) |
裏表紙の候補者は欧州議会向け、内側の上3分の1は連邦政府の代議院議員候補、そして残りの3分の2はブリュッセル地域議員候補です。
このチラシは、南側のワロン地域に行くと、ブリュッセル地域議員候補の部分がワロン地域議員候補に差し替わっているはずです。
また、このチラシはオランダ語圏地域では配布されないはずです。
それぞれの議員はカテゴリ別に順番が書いてあります。
また、候補者によっては、○○(コミューン名)助役とか、○○(コミューン名)議員、○○(コミューン名)区長というように、地方自治体の議員の人もいます。この国では、地方議会や地方自治体の首長と連邦議会と連邦構成体議会を兼務することが可能です。日本でイメージすると、大阪市長が衆議院議員になったり、中央の○○大臣を兼務するというのがあり得るということです。
ベルギーは日本の約10分の1の人口です。この政党が日本で言う自民党くらい巨大な政党だと思うかもしれませんが、Wikipediaによれば議席数は次の通りです。
・欧州議会 0(ベルギー仏語圏枠8)
・連邦代議院 2(ベルギー仏語圏枠63)
・連邦上院 0(ベルギー仏語圏枠24)
・フランス語共同体 3(議員総数94)
・ワロン地域 0(議員総数75)
・ブリュッセル地域 12(議員総数72)
・フランドル議会 1(議員総数124)
ん???この政党はフランス語圏の独立民主連邦主義の政党なはずなのに、なぜオランダ語圏のフランドル議会に1名いるの????それも、ウィキペディアのフランス語版にあって英語版にない!!この点についてはちゃんと答えられません(ごめんなさい)。
チラシを良く見ると、代議院議員候補の1位と2位の人には、19 communes bruxelloise + 6 à facilités(ブリュッセル19区プラス6(言語上)便宜区)と書いてありました。
ブリュッセル19区というのは、ブリュッセル地域の中に19のコミューン(区)がある意味で難しくはありません。
6便宜区については大学の教科書に書いてありました。ブリュッセルに隣接するオランダ語圏の6つのコミューンはロード・サン・ジュネーズ郡区(canton de Rhode-Saint-Genese)というグループを構成していて、行政で使う言語としてオランダ語に加えフランス語の利用が可能となっています。その住民は選挙の投票で(オランダ語圏の)ブラバンフラマン州を代表する候補者か(フランス語の)ブリュッセル首都圏地域代表の候補者のいずれかを投票できます。
Wikipediaの議員数の謎については、この事情がフランス語では反映されていて英語では反映されていないと言ったことなのかな???それとも情報源の年月が違うとか?
とにかく、この政党はブリュッセル地域では議席が多めですが、他の連邦構成政府では少なめです。それでもこんなにたくさんの候補者を載せています。
投票方法
理由の一つは、投票方法にあると思います。連邦政府の内務省選挙部のウェブサイトには動画も含めて分かりやすく紹介されています。
投票用紙による投票 https://elections.fgov.be/electeurs/comment-voter
電子投票 https://elections.fgov.be/electeurs-comment-voter/le-vote-electronique
支持政党の候補リストの優先順位全体を支持する場合は、リスト上部に印をつけます。
支持政党のうち具体的な候補者を支持する場合は、その候補者名のチェック欄に印をつけます。支持する候補者数は複数になってもかまいません。
リスト上部と特定候補者両方に印をつけると無効です。
紙の選挙の様子を見たことがありますが、投票用紙に各党候補者全員の名前があるので、ポスターのような大きな紙で、記入台で広げるのも大変なくらいです。
ベルギーの選挙、というかベルギーの制度はたいていこんな感じで複雑なのを理解していただけたでしょうか。
取りとめもないのですが、今回はこの辺で。
選挙前は、できたらもうちょっとブログ書いてみます。
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