数日前、小学校で校長先生による中等教育進学方法説明会が行われました。
ベルギーの場合、憲法第24条において教育の自由を謳い「共同体が両親の自由選択を確保する(La communauté assure le libre choix des parents.)」と明記しています。うちの場合、フランス語圏で子供の教育を受けさせたいので、フランス語共同体政府が教育関係の所轄官庁になります。日本のように、日本全国の教育=文部科学省が所轄官庁じゃないので、隣人がオランダ語圏なら教育行政が全く違ってしまいます。フランス語圏の中学進学についてのみであることを念押しします。
何が自由かというと、日本のような学区が細かく決まっておらず、中学に行くには希望の学校の順位を決めた上で、行政側が子供の住居・出身小学校・希望中学校の距離、兄弟姉妹の通学中学校・親の勤務中学校等の条件などを数値化して加重計算を行って学校を決めて行きます。
成績については、中学校側に提示することは違法とされていてるんだそうです。でも、「この成績じゃうちの中学ではついていけないよ」と言う学校もあるとのこと。裏の駆け引きが皆無ってわけでもなさそうです。
日本の受験のように、子供の学力が条件ということがない上、義務教育は無料です。うちは宗教にこだわりもなく、一人っ子、家族が中学校に勤めていないので、中学選択は子供の好み次第です。
では、どんな条件なのか、2018-19年度の入学手続きのステップをを紹介します。
学校見学
12月から2月初めにかけて、中高校(ベルギーではécole secondaireと呼ぶ)のオープンデーがあるので、行きたければ行きます。
学校によって紹介方法が違います。私が見た学校は、
中学生が参加者を先導して施設を巡って質問に答える
各教室に学習した内容の発表や、生徒のノートを展示
という方法がありました。
小学校のクラス単位で中高校に訪問することもあります。子供の話ではラテン語などの模擬授業を体験したようです。
2月初めまで、まだ数校見学する機会があるので、私もできる限り観に行くようにしています。
2月19日から3月9日:第一志望校に願書提出
願書は2種類あります。それぞれの書類は小学校での説明会のときに登録案内の印刷物とともに直接手渡されました。
記入書類には既に子供の氏名、住所、在籍小学校、申し込み用番号等の情報が印刷されています。
この期間であれば、初日であろうが最終日であろうが、提出すればよいのだそうです。早い者勝ちではないと強調していたので、入学させたいために初日に並ぶ保護者が多いのかもしれませんね。
2種類の書類の名前と、追記する情報は次の通りです。
- Volet général一般情報
親が別居していて、(行政が把握している)子供の住所以外の住所を通学距離計算に使う場合の「2番目の親の住所」
保護者の第一希望中高校(この書類を提出する学校)
優先の有無:兄姉が在籍、(行政によって施設や受け入れ家族で生活している、親が住所不定の子供で寄宿所にいる)一時的状況にある子供、(養護学校入学が必要な)特別支援を要する子供、寄宿所と当該中高校が同じ運営者の場合、保護者が当該中高校で働いている場合
秘密情報の提出方法(紙たはインターネット経由)。
- Volet confidential親展情報
2018年度入学から、親展情報はフランス語共同体ウェブサイト上(http://www.inscription.cfwb.be)で入力できるようになったそうです(まだ試していません)。
第一志望校の入学結果
各中高校には定員があるので、定員以下と定員オーバーの2つの可能性が発生します。なお、定員については、102%を使います。例えば、A中高校の入学定員が100名と行政に通知しているのであれば、入学時の定員は102名で、103名以上なら定員オーバーとなります。
定員以下の場合、全員入学できます。
定員オーバーの場合は、3つのステップで順番を作ります。
- 定員の20.4%は、ISEF(indice socio-économique faible)の学校出身の子供に割り当てられます。ISEFとは、社会経済指標が弱いという意味で、小学校に通う親の社会経済指標を行政が計り、小学校を20程のランクに区切っているのだそうです。どんなふうに計算しているのかは校長先生もよくわかっていませんでしたが、ベルギーは国民一人一人にマイナンバーがあって医療や納税などではとてもよく管理されているので、行政側で計算できているんだとおもいます。
- 優先条件に該当する子供:一般情報に記載されている優先の有無に該当していると順位が上がってきます。
- 保護者の希望優先順位
- 第1希望1.5
- 第2希望1.4
- 第3希望1.3
- 第4希望1.2
- 第5希望以降1.0
- 自宅と通学小学校の距離
- 最寄 2
- 2番目 1.81
- 3番目 1.61
- 4番目 1.41
- 5番目 1.21
- 6番目以降 1
- 自宅と希望中高校の距離
- 最寄 1.98
- 2番目 1.79
- 3番目 1.59
- 4番目 1.39
- 5番目 1.19
- 6番目以降 1
- 通学小学校と希望中学校の距離:画像のような表なのですが、あまりにも細かすぎるので省略します。
- 言語への溶け込み環境:これもよくわからないのですが、該当すれば1.18、しなければ1になります。
- 通学小学校の自治体(コミューン)にある中高校の教育種別
- 宗教系と非宗教系いずれもある 1
- 皆無 1.51
- 非宗教系のみ 1.51
- 宗教系のみ 1.51
- 教育的パートナーシップの有無(系列のようなもの)
- 通学小学校の自治体(コミューン)にある中高校の教育種別の条件で1.51の場合、1になる。
- それ以外の時、当該中高校が少なくとも3つの小学校とパートナー提携協定を結んでいない場合は1。結んでいる場合は、下の条件のうち1つ該当すれば1.51。
- 当該提携協定の小学校出身
- パートナー協定を全く締結していない小学校出身
- パートナーシップ協定を締結している小学校出身だが、別の中高校と締結している場合で
- 通学小学校が自宅から最寄り(加重値が2)であること、または
- パートナーシップ協定締結日以前に小学校に入学をすでにしていたもの
順位の計算例
この加重計算、一例が説明書に書いてあります。どんな計算方法になるか訳を続けます。例では小数点第7位まで有りますね。この数字を知ったからと言っても、他の子供の数字を知らない限りわが子が有利なのか否かがわかりません。
計算例:下のような条件の場合、1.5x1.61x.1.19x1.324x1x1x1=3.8049774がポイントになります。
- 保護者の希望優先順位=第1希望1.5
- 自宅と通学小学校の距離:3番目 1.61
- 自宅と希望中高校の距離:5番目 1.19
- 通学小学校と希望中学校の距離:4km未満=1.324
- 言語への溶け込み環境:該当なし=1
- 通学小学校の自治体(コミューン)にある中高校は、宗教系と非宗教系いずれも有=1
- 教育的パートナーシップ無し=1
4月23日:再募集
第一志望の中高校に落ちてしまったら、教育大臣の代表、フランス語共同体首席大臣の代表が委員となる入学内部ネットワーク委員会(Commission Interréseaux des Inscription, CIRI)が第一志望に入れなかった子供の希望校・計算順位を管理します。CIRIは上述した計算方法をそのまま使い定員オーバーとなっている子供の学校配置について、可能な限り満足いく結果となるように決定していきます。
22%がどうのこうのと書いてあるのですが、よくわからず。。。もしうちの子が該当したら真剣に知ってみます。
中学進学:簡単?難しい? 良い学校とは?
私は日本の田舎で育ったので、中学進学は公立でここに住んでいるからこの中学校と無条件に決まっていました。
ベルギー建国時から、カトリックを維持するキリスト教系政党と、オランダによる支配で政治から離れざるを得なかったフランス語系リベラルが政治の舵をとってきていて、キリスト教の教育と宗教色をなくした教育という対立があったことから、教育の選択は親が取ることになっているようです。そのため、例え近くに学校があっても、校風や言語が合わなければ遠い学校に通うという文化があります。
私たち家族はブリュッセルに来て1年半、旦那はブリュッセルで育ったわけではないので、どの学校がいい悪いなんて情報はありません。
子供に選ばせるのも、小学校の友達が行くからとか、図書室に好きな本があるからといったうわべだけでの選択をしても後々それでいいのかということもあるかもしれません。
何を基準に選んだらいいのかよくわからないのですが、近くの学校で雰囲気が良ければいいかなと思います。
中学を選んだら、引越等で物理的に通学が無理にならない限りは2年間学校変更はできないんだそうです。友達を作る意味では中一の最初の時は大事ですから、子供も満足するような学校に行ければ良い学校になるんだと思います。
それにしても、うちの子はどんな教科が好きになっていくのか、これからが楽しみです。
0 件のコメント :
コメントを投稿