ベルギーのテレビニュース:1月8日RTV TVIの19時ニュース

 最近、YoutubeのJapaNews24というテレビ朝日系のニュースがいつでも見られるサイトが便利で、朝ごはんのときなどに流したりしています。
 日本とベルギーのニュース番組比較をしてみたいなと思って、洗濯ものを片づけながらニュース内容をメモしてみました。
 ご参考までに、RTL TVIというテレビ局は、ベルギーフランス語圏の民放で、1980年代後半にルクセンブルクからベルギーに参入しました。ベルギーのフランス語共同体政府が1989年にコマーシャル放映を許可し、RTBFという公共放送1局のみから、2社体制になっています。現在RTL TVIの本社機能はルクセンブルクに戻っていますが、番組はベルギーフランス語圏向けに作られています。

1月8日19時のRTL TVIニュース

  1. リエージュで82歳の女性の行方不明状態が続く(娘と警察インタビュー)
  2. ブリュッセルのスカルベークでひき逃げ事件。二人目の容疑者捜索中。
  3. 道路交通に潜む危険。運転での違反、30%が速度違反、12%が飲酒、検問重要。10人に1人が運転中携帯操作。公共交通機関利用はフランドル43%、ブリュッセル63%、ワロン28%。つまりワロンの7割が公共交通をまったく利用していない。ベルギーでの移動手段トップは自動車。
  4. スーダン移民者への対応をめぐる担当大臣解任有無に関し、ミシェル首相とで・ウェヴァーNVA党首対立。担当大臣解任すれば、NVAが連立政権離脱も示唆。
  5. Mont-de-piétéという公営質屋制度400周年。
  6. リエージュのMozer社が欧州委員会の移転ロジスティック業務を4年間契約。EU環境基準に合う車両など、厳しい条件をクリアしている。
  7. スペインの吹雪。
  8. ニューヨークの悪天候でJFK空港まひ。ナミュールの人が4日アメリカで足止め。
  9. オーストラリア記録的猛暑
  10. オランダ河川水位上昇
  11. イラン(詳細メモなし)
  12. トランプタワー火災
  13. イギリス
  14. ベルギー国内墓地で墓石に付けた金属製十字架の盗難
  15. 2015年2月に4人姉妹のうち3人を自宅別棟に火を放ち殺害したSonja T.M.に28年の実刑判決
  16. 2014年にシャルルロワで発生したスーパー7店舗での拳銃強盗事件、容疑者6名に懲役18か月から4年の判決。
  17. Faux-les-Tombes公立幼稚園で、モンゴルのパオの形をした教室を作った。
  18. ゴールデングローブ賞、女優が黒いドレス
  19. ベルギーで性的暴力を受けた時に着用していた女性の衣類とメッセージを集めた展覧会
  20. フランス・ギャル死亡。セネガルの島で経営していたレストランや住民のインタビュー。
  21. 食用ウサギの品種交配
  22. サッカー選手の契約(バルセロナ)
  23. ベルギーの自転車競技

ベルギー(フランス語圏)と日本のテレビニュースの違い

上にあげた見出しは、とある日のニュースの例ということで、これだけ見て比較するのは無理です。でも、日々ニュースを見ていると、なんとなく次の違いが見えてきています。
そうそう、念を押さなければなりませんが、私が見ているニュースはフランス語なので、オランダ語圏は微妙に違うのかもしれません。

犯人は匿名が多い

日本のニュースは、2日前の事件で逮捕された人の実名、年齢、職業(公務員などは職場の課名まで)、住所が出てきます。そして、連行される映像で顔があまり見えなくても、どこからか顔写真を見つけてきて報道されてしまいます。そして、逮捕直後に容疑者は容疑を認めている、否認しているという情報を追加します。

ベルギーについて、上の例から紹介すると、2.のひき逃げ事件の犯人2人目捜索中ってことですので、1人は捕まったと推測されます(洗濯物を取り込みながらなので、細かいことは逃してしまいました。)。しかしながら、その人がどんな人なのか、よくわかりません。

14の十字架盗難は、その墓地で特に発生した事件ではないと個人的に思います。散歩がてら近くの墓地を歩いたことがありますが、とある区域は墓の十字架がみんな盗まれてなかったです。十字架とねじで固定していた跡が残っているので、墓石に金属で十字架を付けた墓が被害になっています。比較的新しい分譲区画では、十字架を石に彫るなどしているせいか十字架泥棒の痕跡は気にならないです。

15の子供殺害判決は、ウェブニュースでSonja T.M.という名前が把握できましたが、苗字はイニシャルですし、顔写真は出ていません。

16の拳銃強盗ですと、ひとりの犯人の弁護士がインタビューに応じていて、弁護士の周囲に近寄ってきた人にはモザイクがかけられ、人物を特定することはできませんでした。

確かに、テロ事件の時の容疑者映像は出てきて、名前が特定できれば報道されることがありますが、普段の犯罪では、人物が特定できません。悪いことをしても犯罪の状況だけメディアに取り上げられ、行為者自身は(行為の是非を問わず)自分の成果が広く紹介され快感を味わうという環境を作ってしまうのは匿名性の短所です。
ただ一方で、日本の報道の仕方にも疑問が出て来ることがあります。冤罪の場合、元の生活に戻るのはとても大変です。

犯人じゃないときのインタビューは、匿名性が少ない

一方で、目撃者や参加者といった人へのインタビューでは、モザイクも無く下の名前が出る傾向があります。例えば、上の2のひき逃げ事故の目撃者、3の交通機関利用を通行人、17の幼稚園の先生や園児にインタビューしているときなど、テレビ画面の下に2行のテロップが出て、上の方に名前、下の方に役職や「事故の目撃者」、「公共交通利用者」、「○○幼稚園児」といった当該人のタイトルが出ます。上記のニュース以外でも、ストライキがあれば、組合責任者以外の参加者だって名前を出してインタビューします。

日本だったらどうでしょうか。
事故の目撃者や近隣住民は、インタビュー映像で名前や姿を隠しているのではないでしょうか。現場近くに住む人のインタビューだと、インターフォン越しや、玄関ドアを半開きにしたり、背後や顔から下の映像でインタビューを受ける形で、事故の当事者以外はインタビューされたくないか、されても誰が言っているのかわからないような形を選んでいる気がします。

もちろん、ベルギーのニュースでインタビューの時に匿名性が全くないとは言いません。ハラスメントといった人権にかかわることや、犯罪のにおいがしそうなネタ(麻薬や違反取締りなど)では、映像がモザイクになったり、仮名を使ったりします。ただ、ニュースの中でモザイクのかかったインタビューはほとんど見ないです。

政治家インタビューは国政・市町村を問わずみんな政党名がつく

政治ニュースで政治家がインタビューすると、テロップの上の行では名前に続いてMR、NV-A、PS、CD&Vというような記号が並びます。これはその政治家の所属政党名になります。
これが、連邦政府だけでなく、地域、共同体、州そして、どんな規模の自治体の長や助役レベルまで付いてきます。
テロップの下の行でその人の役職(首相、○○党党首、○○議員、市長)という肩書きが付いてきます。
日本だと、「安倍総理大臣(自民党)」などとは書きませんよね。

ベルギーは、上の行が「シャルル・ミッシェル(MR)」、下の行が「首相」というテロップになります。
推測ですが、ベルギーは政党が言語別に分かれていて、議決に必要な議席数を確保するためには連立政権を立てる必要があります。特に連邦政府では、議決が採択されるためにオランダ語圏・フランス語圏双方で一定の賛成を得る必要があるので、連立政権は両語の政党が混在しなければなりません。
そのため、大臣がどの政党出身かによって担当分野の政策はどんな方向に行くのかを把握するのに政党名は大切だと思います。また、大臣メンバーの間で仲たがいをして連立政権が揺らぐ時がよくあり、そんなときに政党別で主張が違うので区別するには政党名が重要になってくるのではと思われます。現在、移民大臣を首相(MR党)が解任したいけど議席数の第一党であるNV-Aは移民大臣解任なら連立解消を示唆しています
イメージすると、閣議に集まる大臣たちの政党が4つあって、Aの政党の大臣がトラブルになった時、B政党出身の首相とA政党党首の間で言い合いがあり、そこにC政党がA政党側について、D政党は静観すると言ったような、閣議内のバトルが繰り広げられます。

ベルギーのニュースでは、政党名がとても大事なのでした。

国際ニュースはいわゆる「欧米」が多い

日本では、アメリカと東アジアとの関係についての報道が多いと思います。日々北朝鮮情勢を報じていますが、ベルギーではそこまで報じられません。
ドイツ、フランス、アメリカあたりには特派員がいますが、スペインのカタルーニャ問題ですと、ベルギーにいる記者が数日出張して報じているケースがあります。
文化関連ニュースは言葉が同じという意味でフランスとの関係が大きいです。ジョニー・アリデー(歌手)、フランス・ギャル(夢見るシャンソン人形というタイトルで日本でも売れた歌手)というフランスの有名な歌手が最近立て続けに亡くなったというニュースが流れました。ベルギーのニュース番組では、フランスのニュース素材をもらったと思われるような、フランス・ギャルが支援したセネガルの町の様子を流していました。
仏語圏でニュースをやり取りできますし、ベルギー発EU向けのニュースを配信するという意気込みがあるかもしれませんね。


さいごに

そうそう、ベルギーのテレビニュースではグルメネタは毎日あるものではありません。ましてや料理をすくってアップで撮影という技術は、ニュース番組枠内では見られないです。

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